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Cinema

 破戒


<STORY>
小学校の教員をしている主人公の瀬川丑松は被差別部落の出身であるが、出身を隠し通している。前から父に出身を隠すようにと言われていたからだが、その父の死に目に会えなかった丑松は亡き父に「隠せという戒めを決して破りません」と誓う。
彼は同じ小学校の同僚の親友にもそのことだけは隠し、好意を持っている下宿の寺の娘にさえ気持ちを打ち明けず心を閉じこめている。そんな丑松にとって被差別部落出身の思想家猪子蓮太郎は尊敬できる人物だったが、猪子にさえ自分の出身をひたすら隠し通した。しかし、町会議員の応援演説に来た猪子が反対する連中に殺される。それと同時に丑松の出身についての噂が広まり、丑松はとうとう“進退伺”を用意して、教え子の前で涙を浮かべ真実を告白し、町を去っていく…。

<POINT>
被差別部落の人権問題を扱った作品である。
市川崑がこの重いテーマを安易なものに終わらせず、実に丁寧に描き出し、見ているものに訴えている。
そして、人が人を差別するという残酷な社会の中で苦悩する一人の青年を市川雷蔵が見事に演じている。ただ、『炎上』のときもそうだが脇の役者(この場合親友役の長門裕之)の演技が派手に見えるのはどうしてだろうか。
それからカメラの宮川一夫の映像はやはりうまい!
真っ暗な夜、男が提灯一つで山の稜線のシルエットをなぞるように歩くシーンなど、白と黒のコントラストが絶妙。


1962年 日本。
脚本:和田夏十
監督:市川崑
撮影:宮川一夫
原作:島崎藤村
出演者:市川雷蔵、長門裕之、船越英二、中村鴈治郎、三國連太郎、藤村志保、岸田今日子
モノクロ

シネ・ヌーヴォにて
観賞日:2000.8.11

★★★★★★★☆☆☆